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ディア・ドクター(ネタばれ注意)

 西川美和監督作品・脚本 「ディア・ドクター」

西川監督といえば、「ゆれる」という作品で、あらゆる賞をたくさんとった女性監督として有名ですよね。

彼女の待望の2作品目、「ディア・ドクター」アスミック・エースの作品は本当に私好みの作品が多くて、大作ではなくショートムービー的なサブカルチャー的な、作品が多いですよね。

今回のこの作品も、ひとつの小さな村が舞台となっていて、人口の半分は高齢者、農業で生計を立てているような、そんな大自然広がる場所でした。

今、日本で過疎化というのが大きな問題になっている。視点はそこにありました。ドクターコトー診療所でもありましたが、医者がいない。

注目したのがここなんです。医者がいないこの村の深刻な状況がもたらしたなんともファンタスティックな展開が用意されていたわけです。

小さな嘘、この嘘は責められますか?

こんな問いかけがキャッチフレーズになっていますが、その嘘はとても優しい嘘だった。この作品の中でそんな風に描かれていました。

「嘘をつく人間は悪い人間」

でも、人間、嘘をつかない人はいるでしょうか?小さな嘘、大きな嘘、悪い嘘、優しい嘘。

種類はたくさんあるけれど、特に日本人の美徳としては、優しい嘘をつく傾向にある。優しい嘘のほとんどは情からきているんですね。

伊野の嘘は、決して許される嘘ではなかったけれど、3年間のあいだ、村の人は何とか彼がいる、医者がいるという優しい嘘の中で安心した生活を送っていた事実と、若い医者に、患者本人と向き合うという本質を教えたという事実。

そんな優しい人間的情によって引き起こされた嘘なら、どうか、伊野先生、つかまらないでほしいと思ってしまう。そういう描き方でした。

「まるで村のみんなが伊野を先生に仕立て上げたようじゃないか?」この言葉が全てじゃにだろうか?

伊野の偽医者という事実が明るみに出るにあたって、だんだんと彼自身の苦悩が見えるようになっていく。本当にこんなことを続けていていいのか?という迷いと、とんでもない嘘をみんなについているという罪悪感のなか。

私が解釈できなかったのが、余さんが演じていた、看護師が伊野の正体をしっていたのかという事実。

後の描写に、医者としておかしい点がたたあったとエイタが言っていたけど、そうなら、当然看護師もその事実に気付いていただろうな・・・。それも含めての仕立て上げだったのか・・・。

はじめの方の描写で、伊野が医者としてあがめたてられている、神にも等しいと思われているという描き方が、後の偽医者だった事実が明らかになった時の対比になっていて、伊野の苦悩をより引き立てるような描き方になっていましたね。

出演者は全員玄人だったから、安心して見ていられた。

主人公の鶴ベイさんは、本当に適役で、親しみ深く、情に熱い人柄と、チャーミングで、軽く笑い飛ばすような性格が出ていて、この人以外いない!とまで思ってしまう。会話もおそろしく自然体で、びっくりした。上手いとか、上手くないとかじゃなくて、うん、この人が伊野、伊野ってひとは鶴餅さんみたいな人だって感じしました。

瑛太くんはいまどきな研修医って感じが凄くでていました。

後、余貴美子さん。この人はどの役をやっても独特の温かみがあって、たぶんこの人自身がそうなんだけど、優しい雰囲気と、あやしい雰囲気とちゃめっけのある雰囲気が同居しているような、まあ、陳腐な言葉でいってしまえば、幅が広く、そのどの役にも深みと温かみがあるっていう印象でした。

八千草薫さんは、もう、ただそこに存在していればいいということが許された人っていう印象で、モンペ姿には違和感があったけど、娘に迷惑をかけたくない心情とか、そのこの場所を離れたくない、場所への愛着だとかがいじらしくて、そうよねーって納得できるような雰囲気なんですね。料理を作って伊野と話しているシーンなんて、家族に乾杯かと思いましたもん。

質素だけど、家庭でとれた、農薬の薄い健康な野菜と魚を中心とした食事。

それを一人でひっそりと食べているおとなしい、控え目な女性をよく演じておられた感じです。

この西川監督は、家族を描くのが好きなんでしょうか、家族の形は千差万別ですが、伊野が何故この偽医者になることになったかという所が少し伝わりにくかった印象です。

伊野があそこまでも、健心的に村人と関わっていたのに、そこまでさせる理由って何だったのでしょう?

そこがないから唐突な感じがありましたね。香川さんが、短いセリフで核心をついたセリフをいっていました。

苦しんでいる人、助けを求める人があれば、そこに手を貸してしまうのが人間でしょう。

確かに、でもそれをするにはあまりにも大きな嘘だし、かけですよね。

ちょっとそのあたりの描写があったかもわからにけど、私には理解不足だったかなと思いました。

でも、心温まる一作ですよ。

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