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2010年11月

ブタのいた教室(ネタばれ注意)

   前田哲監督作品 「ブタがいた教室」

 まず、この作品がドキュメンタリーからスタートしたっていうのは初めて知った情報でした。

教師と生徒と豚。

それぞれどう向き合っているか「ブタをたべるか・たべないか」という論点において。

面白いし、かなり斬新な題材だと思う。

エンターテーメントの中には、それはその作品自体を楽しむっていうことも重要だけど、やはり何かを感じ取ったり、考えたりすることが大切な部分の一つだと思う。

確かに、ペットを食べられるか?

という論点においては、「NO」という人は大多数だろう。

ただ、豚という所に目線を落とした時どうだろう・・・・。

これは子供だけじゃないくて視聴した多くの観客たちにも非常に考える材料になったろうと思うわけです。

先生は「何が正しくて間違っているということはない!」と子供たちに再三言うわけです。

ただ、生徒たちの話し合いの中に、「楽しい思い出や、苦しい思い出がいっぱいあるのに殺すなんてよく言えるね」という感情論に走った発言や、人間の「責任」の取り方の話など非常に面白く正当な意見が沢山出ていた。

この作品に台本はあったのかな・・・多分なかったんじゃないのか?

生徒たちの表情から、言葉から、作られた感じを一切受けなかったのでそう感じた。

ドキュメンタリーのようにとったのか・・・・。

いずれにしても、先生が出した結論自体もよかったか悪かったかすらわからない。

でも、分からなくていいんじゃないかという風にも思った。

答えなんてない。きっと出ない。平行線だ。

ただ、あそこにいた生徒たちは、視聴者は、食物を頂くことに対して、何かしら考えるきっかけにはなったのではないかと思う。

生きとし生けるもの、食べていかないと人間は生きていけない。

ただ、頂く時、その食物に対してどのような気持ちで頂くのか。

「いただきます」という言葉の深さにも新たに気がついた気がした。

このような切りこんだ題材をテーマに作品を作ってくれたことを嬉しく思います。

パコと魔法の絵本(ネタばれ注意)

   中島哲也監督作品 「パコと魔法の絵本」

 中島監督の作品は、ほとんど見たと思います。

そしてどの作品にも監督らしい「味」みたいなものがあって、そういう個性みたいなもの、そしてそれが世間に受け入れられているって凄いことだなって思います。

監督の作品で特徴的なのが「色」だと思う。

作品を見て、目を見張るような色が飛び込んでくるような印象。

ちゃめっけにあふれた、映像の可愛さと、ちょっと泣けるストーリーが全く飽きさせないような感じで展開してゆく。

「なんなんだ・・・これ・・」と思うけど、実話・・・引き込まれているという。

この作品もまさにそんな感じでしたね。

前の作品で「嫌われ松子の一生」という作品がありましたが、この作品も暗いストーリーを独特の展開と色使いで面白くみせていたなぁ・・・という印象。

途中でミュージカルテイストなんかを入れたりして、どうしようもない松子の不運な感じを描いていましたよね。

今回も、どこの病院?しかもその衣装なに?っていうか、ここ地球なの?みたいな感じでおとぎ話の中に入った感覚が強い・・・舞台を見ている感じに近い印象を持ちました。

なので、みんな一環として芝居は派手です。

オーバーな印象。

でも、この作品に関してはそれがハマっている。

役所広司さんが演じるのは頑固爺で、自分で会社を大きくしたっていうつわものなんだけど、「お前に名前を覚えられると思うと苦痛だ!!」みたいな暴言を平気ではいているそんな爺を演じている。

なんかお茶の水博士みたいなずらかぶって???

なんなんそのマント・・・?

てっていう衣装きてますけど、その頑固爺が、事故で記憶が1日しかもたない少女パコと出会う、出会って、彼女の記憶に少しでも残りたいとだんだん変化していくって話。

そのパコがもう可愛いんです!アヤカって名前なんですが、芝居が決して上手いわけじゃないんだけど、なににしろ可愛すぎます!!

ストーリーテーラーは阿部サダヲさん・・・もう彼の芝居がアクセントになって非常に面白かったですねー。本当に。

もう、笑いをやらしたら、竹中直人と阿部サダヲって感じ。

面白すぎます!!

そして、サイドのストーリーもしっかりとしていたし、また泣けるのね・・・。

おかまになった國村さんなんかほんと傑作やったし・・・。

それよりもあの純真無垢な感じを前面にだしている加瀬亮・・・いまのSPECとは全然違いますな・・・。

可愛いんですよ、声も若い青年のようだし、ボケたキャラっていうのが妙にハマるし、あのはっ茶けた衣装も着こなしているし、天然ボケ風に演じているのも、役所さんとの対比が面白い。

土屋アンナも、小池英子さんも面白かった。

医者の上川隆也さんも、さすが舞台役者!!!って感じではっちゃけていて面白かった。

そんな感じでみんな適材適所面白かった。

ほんと、加瀬君・・・面白いしごといっぱいやっているね!!

カポディモンテ美術館展

    ナポリ・宮廷と美「カポディモンテ美術館展」  京都文化博物館

 イタリア南部に位置するナポリの美術館が京都にやってきました。

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行きたい、ナポリ!と思わせる、海と風景。

ところどころ南国を思い出させる絵は、基本的に宗教がなんだけど、その一枚一枚にストーリーが想像できて本当に見ごたえありました。

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この作品はカポディモンテ美術品の看板娘らしい。

「貴婦人の肖像」アンテアという名前らしいのだけど、圧倒的な美しさで、彼女に関する研究が美術史の中で沢山されたらしいけど、花嫁なのか娼婦なのか、全く分かっていないらしい。

 今回京都に来た作品たちは女性の作品を比較的多く持ってきてくれたらしいのだけど、一枚一枚にほんとストーリーがある作品ばかりで、「放蕩息子の帰宅」という作品はとくに、その親御さんの様子が手に取るように表現されていて、思わず声が聞こえてきそうなほどでした。

又、光と闇の使い方が絶妙で、一番描きたい部分が一番明るい色で描かれているんじゃないかと思わせる作品が2作品ありました。「羊飼いの礼拝」「エマオの晩餐」

また、女性画家特有の、自分の過去への怒りや悲しみや復讐心なんかを絵の中に表現した作品「ユディトとホロフェルンネス」という作品。

この作品は、女性と侍女が男の首を切り落としているまさに殺人シーンなんだけど、その女性の表情の淡々とした冷たい顔が本当に印象的でした。

又、「聖アガタ」という作品も非常に印象に残っていて、2作品あったのだけど、どちらも非常に誇り高い女性の意志と表情を感じました。

 やはり美術作品を見るのはいいですね!!

お茶は「キルヘボン」に行きました。

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店内がクリスマスカラーになっていました。

とても風景もよくておすすめ!

ここのケーキは美味しいのはもちろんなんだけど、紅茶も最高なんだよねー。

012_2  こちらはモンブランです!

私が注文いたしました。栗の絶妙なお甘さと、タルトのサクサク感がたまらない一品。

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「ラ・フランスのタルト」と「サツマイモのタルト」

だったかな?ちょっと名前忘れちゃいましたけど

本当の美味しい一品でございました。

幸せってこういう時のことを言うのですね。

京都はすっかり紅葉し始めています。

まだ、4分ぐらいですが・・・。確実に色づき初めておりますよー。

019 さあ、皆さん芸術の秋「京都へ行こう!!」なんちゃって・・・。

女帝(ネタばれ注意)

    ウォン・シャオガン監督作品 「女帝~エンペラー」

 中国の映画が結構好きで、特にチャン・ツィーが好きでよく見ています。

「グリーンディステニー」・「ヒーロー」・「ラバーズ」・「サユリ」

顔が特別綺麗というわけじゃない、どちらかといえば薄いけど、反対に非常に化粧映えする顔ともいえますよね。

この女優さんはやはりアクションだと思うんです。

が、この作品に関してはそれがあんまり生かされてなかった・・・。個人的に残念・・・。

本当に綺麗な動きで、剣舞っていうのがあんなに綺麗なのかって思うんですよ。

どんな身体能力しているんだろう・・・と思うわけです。

昔から相当訓練しているんでしょうね・・・。

中国の俳優の素晴らしさといえばダントツこの舞踊てきな所だと思う。

しかし、強いですねー、主人公的な立場に当たる人て・・・特殊能力あるの?って思ってしまう。

無理ですよね・・・っていう展開が多いし、今回の作品に関したら、やたらとそのアクションを綺麗に見せようとしすぎて、そこばっかり目立って肝心のリアリティー的なものが全く感じられなかった。

アクションを止めるんですよ、スローモーションで見せるっていう・・・。

血の飛び散る血しぶきまでもが、綺麗に。

もーなんだか興ざめなんですよ。

ロープ使ってるでしょう?ってばればれ過ぎてひきますよね・・・。

CGも多様すぎてうるさかったし。

肝心の話も???って感じであんまり入ってこなかったな。

ついでにチャン・ツィー自体の人物にも共感が持てなかった個人的に。

っていう全てがマイナスの連鎖でちっとも残らなかった作品でした。

俳優さんはめちゃかっこよかったけどー。

生粋の中国人じゃなかったのねー、そんな顔してるわ。

ツォツィ(ネタばれ注意)

  ギャヴィン・ウッド監督作品 「ツォツィ」

 2005年アカデミー賞外国語映画賞を受賞したこの作品。

最後に、涙を流してしまいました。

貧困・生活環境が齎す人格形成が、実によく描かれている作品でした。

一人の少年「ツォツィ」を通して、丹念に描かれている。

こう思わずにはいられない。

「日本に生まれてよかった」・「この両親に生まれてよかった」

豊かな国が齎すものが、教育が齎す人格形成がどれだけ人間にとって必要なことか。

この「ツォツィ」という意味は不良という意味らしい。

不良といっても、人を人と思っていないような行い、殺人・暴行・誘拐・窃盗・・・・数え上げればきりがないけど、このスラムに生きている少年たちにとって生きる道というのが、他になかったか、そこまで、考えが至らなかったか・・。

最初は、すさまじい荒れっぷりで、見るのも閉口するが・・・。

その少年がある家の前で女性を襲い、その女性が乗っていた車を強奪するという所から物語は始まる。

その強奪した車には赤ん坊がいた。

その赤ん坊を育てることによって、ツォツィはどんどん人間的に変化していく。

人の手を借りなければ生きることもできない小さな赤ん坊に、主人公は昔の自分と母親のことを思い出す。

自分を愛してくれた母親のことを思い出すのだ。

殺しては駄目だ、なんとか赤ん坊を育てなければと思う主人公は、同じぐらいの赤ん坊を育てている女性の家に押し入り、お乳をやるように強制する。

その女性が、赤ん坊に乳をやる姿、いつくしみ、愛でる姿を見て、主人公はどんどん変わっていく。

少しずつ、丁寧に描かれた心理描写が、感情移入の糸口となってどんどん見入ってしまう。

主人公が、人間らしい本来の姿に戻る姿は見ていて気持ちのいいものだし、とても応援したくなる。

最後、赤ん坊を盗んだ家に帰しに行くシーンなどは最後、あかちゃんと離れたくない、親のような心境になっていて、彼の瞳からは涙がこぼれるのだ。

それに凄く貰い泣きしてしまいました。

丁寧によくできた秀作だと思います。

今の日本人がよほど恵まれた生活をしているのだと痛感するし、ドラム缶の中で生活しているスラムの子供の姿は、可哀想だけど、生命力に満ち溢れて必死だ。

そんな人間らしい姿にも胸打たれる。

色んな環境で生きている人間がいるんだな、そう思える。

社会派映画としては本当に見ごたえがある。

フリーター、家を買う(ネタばれ注意)

   火曜21時ドラマ 「フリーター、家を買う」

 最近調子のよいフジテレビ火曜日21時ドラマ。

嵐の主演ドラマリレーの最終章はこの作品。「フリーター、家を買う」

思えば、相葉の「マイガール」にしろ、櫻井の「特上カバチ」にしろ、大野「怪物くん」松本の「夏の恋は虹色に輝く」にしろ、よく本人の持っているイメージを大事にして作品を決めているな・・・という印象。

こちらのドラマも二宮和也の真骨頂、「普通の青年」というやつだ。

なぜなら、二宮が一番得意とする役柄。等身大というやつ。

彼は、今までもこうした普通の一般人を演じてきた。

そして演技力としても高い評価を受けてきたわけだ。

演技を演技として感じさせない、その物語の登場人物になりきるという類のもの。

ドラマ・映画・舞台とそれぞれ演技力があると言われる演じ方は違う。

舞台は、大きくオーバーぐらいの演技が求められるし、ドラマは分かりやすく視聴者に伝えられる演技を求められる。映画は、たとえセリフがなくても表情やたたずまいで演じることが求められる。

それぞれ求められる部分が違うと思うけど。

でも共通して言えるのは、やはりその登場人物に感情移入してみれるかみれないかって所だと思う。

多分、ここの部分が一番重要で、ここに引っ張りこむのが上手いのが二宮なんだろう。

あたかも、その辺の町で起こっていそうな家族関係、フリーターという状況。

そんな一庶民を、この国民的アイドルが、そのアイドル臭を全くかき消して演じているわけ。

いつも思っていたのが、やはり彼の周りにいる役者たち。

今回は彼のレベルにあっているよね。

それをみんな役者がみんな上手いって表現になっていると思うけど。

演技力に大きな差がなく綺麗な形をとっているように見える、その辺が絶妙な演出なんだろう。

彼の作品を見るときいつもたまに浮いているな・・・と思う時がある。

浮く時、一人下手すぎて浮くって思いがちだけど、二宮の場合上手すぎて浮いている時がある・・・そう、嵐5人で出演した「最後の約束」を見た時思った。

竹中直人にしろ、浅野温子にしろ力のある、主演も沢山経験してきたいわゆる場数をふんだ大ベテランだ。

そしてなによりも脚本。凄い練られているし、視聴者に媚びてないよね。

大切なことにきずくのは、決して大きいことや派手なことばかりじゃない、日常生活のほんの些細なかかわり合いからきずいたりするもんだ。

そんな普遍的なメッセージが大前提として流れている脚本。

それを至って普通の感覚で演じているキャスト達。

なんと絶妙なバランスのとれた作品なんだろう。

パレード(ネタばれ注意)

  行定勲監督作品 「パレード」

 今をトキメク旬の俳優 藤原竜也・小出恵介・林遣都 女優 貫地谷しをり・香里奈。

一つのアパートに共同生活をする5人の奇妙な関係。

友達でもない、血縁関係もない、幼馴染みでもない。そんな5人。

 映画は何気ない感じでスタート。

お互いの関係が全くわからない。

会話の中から、なんとなく読みとるように始まっていく。

いつも部屋にいる貫地谷、無職の女。俳優と付き合っており、関係は世間には秘密。呼び出された時だけ会いにいける奇妙な関係。

田舎から出てきた大学生。小出。先輩の恋人と恋に落ち、△関係を継続中。

映画の配給会社に勤める藤原、健康おたくで、完璧主義。融通の利かないサラリーマン。

自称イラストレーター香里奈。夢を追いかけるが、実際は雑貨屋の店員。酒癖が悪く、すぐに共同生活の部屋に他人を連れ込む。

男娼の林遣都。所在不明の謎の男。少年。ひょうひょうとしており掴みどころがない。

こんな5人が生活を繰り広げている。

お互いに干渉しない、深く関心を持たない、ただ同じ空間にいるだけという存在感を出しながら演じていました。

この5人の生活が、奇妙なように見えて、実際は今の日本の若者の心情や社会が浮き彫りにされている。

心に不満や不安を抱えながら、それをはきだすことが出来ない。

それを出来る人間関係に恵まれていない。

そんな孤独な5人だ。

多分、一人でいるには不安定過ぎて、お互い寄り添って生きているんじゃないのか、一人じゃ行動できない、意志を持つこと、自分を貫くことが怖すぎて、長いものに巻かれながら生きている。

それに漠然とした恐怖感を持ちながら。

そんなダ性な関係を香里奈は「モンスター」と呼んでいたけど。

人間は弱い生き物だ、何かに依存して生きていたい、一人で立つために、誰かと寄り添いたい、一人では生きていけない。

ただ心からの信頼を得ていないこの5人は、それぞれ自分の中の闇を閉じ込める方法を持っていた。

それが、ことは違えどみんな持っている。

ある通り魔事件が問題になっている、それはこのマンションの近くだ。

最後林遣都が、「誰も見ていないから大丈夫」と至極当然のようにいう。

「みんな知ってんじゃんないのかな・・・。」

通り魔事件の犯人は藤原だったが、そのことに驚くよりも、守ることを当然のようにやってのけた林の存在と、漠然と受け入れている4人の同居人。

深い追求はしない。なにもなかったかのように流れる会話に心が寒くなる。

役者のリアルな演技は見ものだし、ストーリーとして全く飽きることはない。

ただ、二度と見返したいとは思わない作品。

一度視聴しただけで多くのことを伝える、残す作品というのは、全体的にそう思う。

二度と見ないけど、ちゃんと残ってるって言う。

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